#3 謎だらけなカオモックの正体は (後編)

 

おいしいカオモックの話  

 

カオモックガイとは

 

食べてない方の方が多いと思うので、ざっと「カオモックガイ」の要点を紹介しつつ話を進める。

カオモックガイは、なかなか愛らしい米料理だ。 

カオ(米)・モック(埋める)・ガイ(鶏肉)という名のとおり、骨つき鶏肉が米の下に隠れていて、周囲に胡瓜などの野菜が添えられていたりする。

 

もちろん米はスパイスと一緒に炊くわけで、米粒がぴかぴかとした黄金色になっている。

まさに目を引く、映えメニュー!

さて、次はいよいよソースだ。

たとえば現地でカオモックを頼めばよくわかる。タイでよく見かけるのは「ミントチリソース」なのだが、鶏肉、あるいは少し臭みのある牛や山羊肉によく添えられる。

ちなみに、もう一つカオモックで別のソースが。

それは「スイートチリソース

 

これは色が赤っぽくて、見てくれは辛そうだが、程よく甘酸っぱ辛めのタレである。市販のソースのような甘ったるい胸焼けを覚えるものではなく、なんかさらりとしたやつである。

 

ちなみに、我々の店でもこのスイートチリソースを「手作り」している。

カオモックのお味に合うよう、作っているのでぜひトライしてみてほしい。

 

 

 

「マジデハマル」的カオモックとは ?

(以下、『mdh』と略記)

 

さて、現地のカオモックってなんでしょう?

 

 

これまで僕はタイで、様々な “現地の味”のカオモックを食してきた。そして自分なりに分析。そうしてついにたどり着き、ようやく導き出したと思われる結論はこちらである。

 

 現地の味の定義がめちゃくちゃ曖昧

 

ソースは店ごとでまったく違うし、当然「これ」といった味や仕上がりはない。店によって辛さが控えめだったり、フレッシュ感が際立ってたり、スイートチリソースだったり、ミントソースだったり。

さらに言うなら、ライスの炊き具合や風味もそう

肉の柔らかさも、調理法で大きく違うし店によって肉の食感は大きく異なることもある。

 

そもそも “ビリヤニ”の定義が曖昧なので、「現地の味のカオモック」とはいったいどういうものかというと、うーんという感じではあるが、それぞれどの店も味の個性があるし、同じ料理とはいえ、なにが正解というものでもないので、個人的には「どこそこのが一番美味しいというよりは、その店の個性を楽しめばいい気がする」と僕は思っている。

 

料理に個性があるからこそ、その料理を面白くするのではないだろうか。

今ちょっとかっこよく言ったけど、比較してもキリが無いから考えたくないと言うのが本音だ。

 

急激なまとめをすると、「現地の味」の曖昧な定義だけがクソだが、カオモックは味に結構バリエーションがある食べ物だと思う。何よりも、店の個性を楽しむことができる。

 

ちなみに、mdhのカオモックは、現地で食べたどこそこの味の再現ではなく、自分たちがイメージしている「美味しいカオモック」の再現である。「店に来てくれる人たちが、現地で食べたことあるなし関係なく美味しいと感じてくれるものを作りたい」という、いつかそれっぽい講演会で演説できそうなレベルの内容だが、やっぱりそれこそが「mdh」的カオモックの目指すトコロなのだ。

 

というわけで、カオモックをお求めの際は遠めのタイよりお近くの当にいらしてください。かろうじて日本でも「カオモックガイ」が食べれるぞ食べれるぞ〜 !

 

結局一番言いたかったのは

 

 現地の味の定義は曖昧で、トレンドや嗜好、環境などで変化し続けるのである。

 


 

「謎だらけなカオモックの正体は」とか言っちゃったけど、調べれば調べる程ビリヤニを定義することの難しさがよくわかったので、やっぱり謎だなあ・・・と思ったりする、そんなタイのビリヤニでした。