#2 謎だらけなカオモックの正体は (前編)
僕が言いたいことはたっひとつ。タイと言ったら、カオモックでしょ!知らんけど。
「カオモックの謎」事情
インド人じゃなくてもついつい「ビリヤニ、ビリヤニ」と言ってしまう、脳内広がるスパイスの香り・カオモックガイ。
そんなマニアックな魅惑のカオモックワールドをつらつらと書いていきたい。
①ルーツはどこにあるのか
この記事のテーマである「カオモック(タイ式ビリヤニ)」・・・。実は様々な国で食されていることをご存知だろうか?
ただ、カオモック(タイのビリヤニ)に関して本気で語り出すと、こと起源に関してビリヤニほどふところの深いものはほかにないのではないか、と思われる。「急に饒舌になってきて怖い」と思われそうだが聞いてほしい。
ビリヤニとはイスラム圏で食べられている米料理。古代ペルシャ帝国やムガル帝国での「起源」の謎から始まってインド、タイ・ムスリム教徒から、インドネシアのナシケブリにまで話は及ぶのだ。要するに、タイではマレーシアと国境を接するタイ南部のムスリムの人々によって、カオモック(タイ式ビリヤニ)として大衆化されたのである。
ビリヤニは一種の「道」に至るほどの時空と情報量を内包している。ビリヤニによって、人の歴史は直接間接的に動かされてきたし、その調理法については古今東西それぞれに違う「スタイル」を展開させてきたのである。さらにビリヤニの正確な由来も不明である。
余談だが、一般的には「カオモック」だが、タイ南部やバンコクの一部の専門店では「カオブリー」とも呼ばれている。ちなみにペルシア語の「カーブリ」が変化したもので、アフガニスタンの首都「カブール」を指しているらしい。
※古代ペルシャ帝国とは現在のイランを中心に成立していた歴史上の国家を指し、一般的にはアケメネス朝・サーサーン朝に対する総称。
※ムガル帝国とは16世紀から18世紀初頭にかけて南端部を除くインド亜大陸を支配し、19世紀後半まで存続したトルコ系イスラム王朝。
②ムスリムって何ぞや
ムスリムとは、アラビア語でイスラム教徒のこと。ムスリムは、アラビア、中近東を中心に、アジア圏のインドネシアやマレーシアから、アフリカの大西洋側などにも広がっている世界宗教。世界50ヶ国前後の国でムスリムが多数派を占めていて、およそ11億人の信徒がいるのだとか。
ちなみに、皆様はムスリムと聞いてどんなものを想像しますか?何となく怖いっぽい、なんか「イスラム=テロ」的な感じ?イスラム教の戒律、とか…いまいちピンときませんよね?
実際のところは、「普通」に、日本でも生活していたりするんですが、信仰の度合いも礼拝の仕方も、食べ物や酒についての考え方も人それぞれ。しかも「思っていた以上にアバウト」だったりもする。
ムスリムといえば、「宗教的な衣服を身につけている」というイメージが強いかもしれない。
だが、世の中には多様なムスリムの人たちがいて、多くの日本人と同様でカジュアルなファッションを楽しんでいる人もいる。その辺がイメージとだいぶ違う所である。
ちなみに、僕は「デーモン小暮閣下」同じく、無宗教である。
③タイのムスリム〜系統編〜
タイは仏教国ではなかったのか⁈ というステレオタイプ(固定観念)に先制パンチ !
タイのムスリムには、大きく分けて3系統ある ?!
タイのムスリム系統その1
まずはタイ・ムスリム
200年ほど前にタイ南部やマレー半島から来た、ムスリムの末裔。バンコクとアユタヤ中心に暮らしておられます。
どんどん行きましょう〜!
タイのムスリム系統その2
タイではもっとも人口の多い「タイ・マレー」。タイ南部に集中して暮らしています。
Thai Muslim Man Playing In Mosque
さて、まだまだ知りたがりな欲しがりやさんのための3つめは…。
タイのムスリム系統その3
雲南系華人のムスリム (ホー)
交易の過程で北タイに移住。
雲南省からビルマを経てインドに至るルートで、タイ北部のチェンライやチェンマイに入ってきたそう
こんな意外なルートから入ってきてると思うと、凄まじいギャップに萌えてしまいそう
ちなみに、バンコクにも60万人越のムスリムが居住。ムスリムのタイ人は決して同化はしないが、すっかり日常のなかに溶け込んでおり、ムスリムのタイ人も仏教徒のタイ人も互いに問題なく共存共栄しているのだ。